福島の復興は進んでいるのか?
福島に対する認識の偏りが残り続けている
東日本大震災から7年もの月日が経ちましたが、いまだに福島県に対する認識の偏り(風評被害)が残り続けています。
原発事故の影響で周囲の環境汚染が残ってしまったことは事実であり、それによって周辺地域での居住が不可能な状態になってしまったわけですが、それ以外の地域に関してはほとんどほかの地域と変わらないくらいの状態に戻りつつあります。
しかし、そういう状況であることを正しく認識できない人が非常に多く、それが復興の妨げになってしまっているわけです。
日本人に限りませんが、何か人道的な事件や事故が発生した際にほとんどの人が持つ印象は「かわいそう」です。
これは、被害者になった人に対して同情するような意味があるわけですが、被害者が本当にそれを望んでいるのかが問題です。
どういうことかというと、「かわいそうだから」などという同情で支援を受けることを本当に喜んでいるのかを考える必要があるという意味になります。
確かに被害に遭遇した人は「かわいそう」かもしれません。
しかし、それは自分の方が優れているという認識を持っているからこそ沸き起こる感情です。
もし、同じような状況にある人同士であれば、「かわいそう」などという安い感情ではなく、「協力しよう」という前にベクトルが向いた感情を抱きます。
もちろん、きっかけが同情だったとしても悪くはないのでしょうが、少なくとも「自分の方が優れているから施してあげよう」という考えは邪道です。
とはいえ、どのようなきっかけだったとしても支援を必要としている人に支援が行き渡ることは素晴らしいことです。
最も問題なのは、支援を必要としている人にとって必要な支援が行われないことであり、そういう状況に比べれば「どのような理由であっても支援を行ってくれる人の方が価値が高い存在」だといっても良いでしょう。
最も問題視するべきは同情をしつつも支援をしない人ですが、完全に無関係な存在であることを認識しているかどうかがポイントです。
現在、福島市では震災前と変わらない生活が可能である
現在、県庁所在地である福島市では、震災前と変わらない生活が可能です。
都市インフラも通常通りに機能していますし、それどころかむしろ震災以前よりも県民にとって快適な生活が可能な状況にすらなっています。
これは、震災によってさまざまな不都合に遭遇したことがきっかけになっているわけで、そういう意味では非常に良いきっかけを得られたといえなくもありません。
「怪我の功名」といえなくもないでしょう。
しかし、それはあくまでも表面的な部分だけです。
今でも町の中を見渡せばところどころに「緑色の袋」が積んであります。
畑、空き地、公園などの片隅にはたくさんの袋が置かれている状態ですが、この袋には「除染で出た土や洗浄水など」が詰められているため、付近が安全かどうかを疑問視している人もたくさんいます。
一応、そういった心配がないからこそ人通りが多い場所にも置いてあるわけですが、やはり幼稚園や保育園のグラウンドにそれがある風景は「異常」と言わざるを得ません。
最近になって、これら除染廃棄物の処理が始まりました。
しかし、根本的な排除を可能にするものではなく、「より影響が少ない環境にまとめて保管する」という方法に過ぎません。
その対策によって町中から除染廃棄物がなくなったとすれば、見た目には「復興が進んだ」と感じられるかもしれません。
ところが、保管場所に行けば見渡す限りに緑色の袋が積みあがっている光景を目の当たりにすることになるわけです。
その状態を「普通」だととらえる人はまずいないでしょうから、やはり「異常」な状態は継続し続けているわけです。
2018年も震災が発生した日に県内各地で鎮魂イベントが開催されました。
いつまでも悲劇を風化させたくない、させてはいけないという県民(被害者)の心情を表現するようなイベントばかりだったのですが、それを見て「いつまでやっているのだ」などという否定的な印象を持つ人もゼロではないはずです。
あくまでもごく一部の心無い人に限った話だったとしても、そういう印象を持つ人がいることを県民は非常に悲しんでいます。
最近では海外からの風評被害が顕著に感じられる
特に最近では、海外からの風評被害が顕著に感じられるようになっています。
福島原発の現場でもアトックスなどの作業員が廃炉に向けて作業を続けていて、市場に出ている農作物や水産物は放射性物質の検査済みなので安心です。
つい先日には、それが原因でイベントが中止になってしまったというニュースが報道されましたが、国内よりも海外で偏った認識(無関係者意識)を持っている傾向が非常に強くあります。
国内で流通が完結し、それだけでも十分なマーケットが維持できるのであれば問題はありません。
むしろ、GDPの関係などを鑑みればその方がはるかに良いわけですが、現実的にそれができないのであれば海外にマーケットを見出そうとすることは当然です。
しかし、間違った認識(風評被害)でそれが阻害されているわけなので、しかるべき存在の人がしかるべき対応ととることが望まれます。
地域の復興は地域だけの力では成し遂げることは困難であり、国としての協力が必要不可欠です。
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最終更新日 2025年6月11日 by swissbug