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「日本赤十字社」における成り立ちについて

ボランティア

1.日本赤十字社について

「日本赤十字社」の成り立ちについては、まずは明治10年に博愛社が設立されていますが、これが前身ともいわれその後、明治19年に日本政府はジュネーブ条約に加入しましたので、それにともない名称も「日本赤十字社」へと変更しました。

このもととなった博愛社というのは1877年に起こった西南戦争の時に「佐野常民」「大給恒」両元老院議官によって作られた救護団体が基礎となっていますが、当時西南戦争では明治政府軍と薩摩軍によって激しい戦いがおこなわれており、多くの死傷者や負傷者を出していましたので、このような悲惨な状況を目にした両元老院議官はヨーロッパにあるような赤十字の必要性を感じたため団体を起こしたとの記録が残ってます。

明治10年には政府に対しても救護団体として博愛社を願い出ていますがこれは認められず、政府としてはもうすでに医師などを派遣しており医療面では十分であるし、さらにこの状況下で急きょ新しい組織は作ることは混乱を招く恐れもある可能性もあり、またヨーロッパなどの赤十字が今の日本にとって重要なのかは不明であるので十分に検討する時間が必要ということを理由としてます。

ですが実際には西南戦争においてかなりの負傷者が十分な手当てを受けることなく放置されていましたので、両元老院議官は直接「有栖川宮熾仁親王」に趣意書を提出しましたが、結局これが認められたことによって博愛社としての活動ができるようになりました。

ようやく救護活動の許可を得ることができた人々はすぐさま西南戦争地へ出向き多くの戦士の救いましたが、その時も日本の赤十字という精神に基づいて官軍薩摩軍の区別なく対応しました。

2.赤十字のマークの由来

「日本赤十字社」における赤十字のマークは、さまざまな紛争などで負傷した人々を救う衛生部隊や救護員やさらにその施設を保護する目的を持っていますので、国際法ではこのように紛争地域で赤十字マークをあげ活動している医師や看護師や病院などには絶対に攻撃を仕掛けてはならないと決められてます。

中には、この赤十字のマークはただ単に医療従事者を表しているだけと考える人々も少なくありませんが、実際には人命救助をする人を守るというもっと大切な意味を持っていますので、この使用に関してはだれでも自由に掲げることができるというわけではありません。
きちんと赤十字と国際的に認められている組織に限り許されていますので、認定を受けていない一般の病院などで使用することは禁止されているのです。

このマークの赤と白のコントラストある配色は、赤十字の創設者であるアンリー・デュナンの祖国であるスイスに敬意を示して定められており、スイス国旗の配色を逆にしたものが基本となって作成されていますので、シンプルでわかりやすいマークとして存在感を持って人々を支えてます。

3.国際赤十字社には七つの原則について

国際赤十字社には七つの原則というものがあります。

・人道

まずは「人道」で戦場において敵味方なく負傷者を救うことを前提に行動し、人の苦痛を軽減させたり防いだりすることを国際的に努力し続けていくことを目指しています。人々の生命と健康を守り人間として尊重しながら活動をおこなっていくことで、すべての人間同士の相互理解や友情や協力そして平和を願います。

・公平

「公平」では国籍や人種や宗教や社会的地位に関係なく、ただ目の前にある苦しみに対して公平に救うことを目的としています。そしてそれはどんな政治的な意見にも左右されることはないという考えを持ちます。

・中立

「中立」においては、常にさまざまな人からの信頼を維持するためにいかなる状況でも紛争への参加はおこなわないことを基本としていますし、その理由についても例外はありません。

・独立

「独立」については各国の赤十字はその国の補助者という立場であるのでその国の法律には従いますが、独自の原則にそって行動していくため、各国家それを妨げるようなことはすることがないようにして、自主性を重んじなければなりません。

・奉仕

「奉仕」において赤十字は利益は求めることなく活動していき、奉仕的な救助団体としても役目を果たしていきます。

・単一

「単一」の意味については、どのような国においてもひとつの赤十字しか持つことはなく、それぞれすべての人間に門戸を開き、全領土において人道的に活動しています。

・世界性

また「世界性」では赤十字は世界的な組織であり、すべてにおいて各国同等の権利を有することで相互援助をするよう心がけてます。

4.まとめ

このように「日本赤十字社」では国際赤十字社の精神に基づいて、崇高なる理念のもと自国だけでなく世界の人々の健康を願い公平な行動をを続けている団体で、赤十字のマークのもとに誇りを持っていろいろな活動をおこなっています。

日本の創始者の信念は今なお国内で信奉されていますし高い意識を持っていますので、国際的にも日本の赤十字は信頼と尊敬の念を持って迎えられているため、これからもこの精神は引き継がれていくでしょう。

 

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最終更新日 2025年6月11日 by swissbug