環境

福島復興に向けて解決しなければいけない課題

東日本大震災によって、大きな被害を受けたのが福島です。
地震と津波による被害はもちろんのこと、原発事故のために避難を余儀なくされているというのは、福島復興にとって大きな問題です。
少しずつ福島に人々の生活が蘇ってきていますが、将来的な見通しは明るいとは言えません。
その理由は、解決しなければいけない課題があまりにも多いためです。

風評被害は未だに福島の住民を苦しめている

まず、原発事故がもたらした様々な風評被害は、未だに福島の住民を苦しめています。
農作物や水産物に放射能の影響があるのではないか、そこに住めば胎児や子供の成長に悪い影響がでるのではないかということを言う人はいます。
しかも、そういった風評被害は海外でもまだ残っているので、未だに福島産の食品を輸入規制している国もあります。

そういった風評被害に対しては、根気強く福島の食品が安全であるという情報を発信していくしかありません。
また、福島で奇形の子どもが生まれたなどのデマは、それを掲載している媒体の運営会社などに働きかけて削除依頼をするとか、科学的にそんな事は起きないというデータを提示していかなければいけないでしょう。

福島復興の課題になる人口減少

次に福島復興の課題になるのが、人口減少です。
原発の影響で避難指示がでていたエリアが、指示の解除されたことで人が住めるようになってきています。
ところが避難していた住民の中で、かつての家に戻るのは一部だけです。
住民が戻らない理由は、放射性が怖いということも一部にはありますが、避難先で新しい生活を始めているのでまた一からやり直したくない、福島の利便性が低いから戻りたくないといったことが多いです。

避難した人々は、震災の時点でもすでに還暦を超えている人はかなりの割合でいました。
それが時が経ち、さらに高齢化が進んだので、福島でやり直すというのは相当に難しくなっています。
なぜなら新しい生活を始めるとなれば、お金が必要だからです。
でも仕事を引退した高齢者は収入も少なく、新しく家を買い家財道具を揃えるというのは困難と言わざるを得ません。
住宅ローンを組むにしても、残りの人生で返済できるかもわからないので審査に通りにくいですし、審査に通ったとしても苦しい生活になることが目に見えています。
また、高齢者になると、体にさまざまな不調がでるものですから、いざというときに頼れる医療機関がないと心配です。
福島復興が進んでいるとは言え病院の数は十分とは言えないでしょう。
戻ってきた住民もいますが高齢ですから時間とともに亡くなる方が増えてきます。
つまり、このままでは人口減少はますます加速します。

人が少ないことは行政サービスにも影響を与える

また、働き盛りの若い世代の方は、避難先で新しい仕事を始めて家を購入したりしているので、なおさら今の生活を手放すことなどできません。
子どもを育てていくためには学校や塾が必要ですし、日々の生活には商業施設も必要です。
それらの施設が充実している避難先の方が福島よりも暮らしやすい場所です。
そうして多くの住民の戻ってこないとなれば、施設も増えにくいでしょう。
なかなか復興が進まない福島を見て住民は戻りたいという気持ちがなくなり、さらに施設が増えにくくなってしまいます。

人が少ないということは、行政サービスにも影響を与えます。
人が少ないので税収は少ないですし、公務員のなり手もあまり増えていません。
しかも、震災で多くの職員が犠牲になっており、その影響が未だに残っています。
福島復興に向けて、やるべきことが多い中で、その人手不足というのは非常に深刻な問題です。

アトックスをはじめとした福島での様々な取り組み

こういったことで、住民が福島県から離れていく状況を改善するために、福島ではいろいろな取組をしています。
高齢者も社会に参加してもらえるような取組みを支援しています。
他にも、企業を誘致することで従業員を住民に取り込もうとする動きもあります。
独身者は出会いの機会がなく新たな家族をつくりにくくなっているということで、婚活イベントの支援なども行ってきました。
もちろん、子育てがしやすくなるようにと、交付金事業を支援したり企業に働きやすい環境を整えるようにと促したり、子どもが遠方の大学に通わなくて済むように大学改革などもやっています。
このように人口減少を食い止めようと、いろいろと試みてた結果として、ある程度の効果は出ています。
しかしながら、福島から外へと流れる人は未だに多いです。

では、人口減少をより抑制するために、どうすればいいのかというと復興・再生だけでなく地方創生をもっと強化しなければいけません。
高齢者や女性だけでなく、障害者も含めて暮らしやすい社会をつくり、働きやすい環境、子育てをしやすい環境にしていく必要があります。

まとめ

また、これまで福島と接点がなかった人を呼び込むために、観光やIターンの誘致などで福島の魅力を発信していく機会も増やしていくべきです。
そうしてあらゆる角度から福島の強みをアピールできれば、やがて被災地というイメージから脱却できて真の意味で福島復興が叶うでしょう。

関連資料:アトックスも尽力した、現在の福島復興状況について調べました。

最終更新日 2025年6月11日 by swissbug